『私も歩けばイケメンにあたる♪』
私は、大急ぎで、ベッドから飛び起きると、
部屋のドアに手をかけ、
外開きの扉が開かないように、
全力でひっぱった。
冗談じゃない!
こんな顔見られたくない。
それに、私、パジャマのままだ。
あいつが、
部屋のドアに手をかけた気配がする。
「入るぞ。」
あいつが、言いながら、ドアを引っ張ったが、
私も、必死に引っ張ったので、
扉は、開かない。
「だめ!」
引っ張った力は抜かないように、
拒否した。
「なんで?」
「なんでって、
えっと・・
年頃の女の子の部屋に、
男の子が入るのは、だめに決まってるでしょ!」
「はあ?
何言ってるんだ、お前。
別に何もしねえよ。
ちょっと話があんだよ。
開けろよ。」
「話なら、そこでしてよ。」
「・・・・。」
しばらく沈黙が流れ、
あいつがあきらめたのかと、
少し油断した瞬間、
さっきとは比べ物にならない力で
ぐいっ、
とドアが引っ張らた。
私も、火事場の馬鹿力、とばかりに、
力いっぱい、ドアを引っ張ったが、
あっさりと、扉は開かれ、
ドアノブを握っていた私の体は、
そのまま、廊下へと勢いよく放り出された。