『私も歩けばイケメンにあたる♪』
「きゃっ!!」
バランスを崩して、悲鳴を上げた私の目に、
廊下の茶色い床が飛び込んできた。
転ぶ!
そう思って、目を閉じかけた瞬間、
今度は、あいつの首が、目に入った。
放心状態で、ゆっくりと、
自分の状況を確認する。
あいつの腕は、私の背中に回されていて、
私の腕は、あいつの体をしっかりつかんでいて・・・、
まるで
抱き合っているような
状態・・・。
そろりと、体を離して、
ゆっくり上を見上げると、
あいつの顔が目と鼻の先にあった。
いつもなら、
ここで、
”ドジ”だの、
”馬鹿”だの
言われるはずなのに、
あいつは、だまったまま、私を見つめている。