『私も歩けばイケメンにあたる♪』

私は返事に詰まった。

まさか、こんな広い空間で、
壁一枚隔てただけで、
あいつと、隣同士に寝てたなんて。

でも、


“あなたのことを考えて泣いてました”


なんて、本当のことが言えるわけもなく、
かといって、
適当な言い訳も思いつかず・・、


「人の部屋を盗み聞きするなんて、
サイテーじゃない。」


と、
さっき、自分が壁に耳をつけたことを棚に上げ、
心にもないことを言ってしまった。

言ってしまってから、すぐに、後悔が押し寄せる。

でも、
あいつのことだから、


“うるせー、そっちこそサイテー女だろ”


とか、


“盗み聞きの何が悪い”


とか、開き直って、言い返してくるだろう。

けど、

返ってきたのは、
そのどちらの言葉でもなかった。





「・・・悪かったな。」





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