『私も歩けばイケメンにあたる♪』

「おい!
聞いてんのかよ?」


私が一言も発しないのに痺れを切らして、
あいつは、何の前触れもなく、
ひょい、
と氷嚢を取り上げて、
私の目を覗き込んだ。

途端、

なんとか我慢していた涙が、

ひとしずく、

私の頬を伝って、

落ちた。



はっとして、
急いで涙をぬぐったが、

あいつは、
ぎょっとした顔で、
私を見つめている。




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