『私も歩けばイケメンにあたる♪』
帰りの電車の中では、
あいつと直樹君の
サッカー談議が盛り上がり、
かなり楽しかった。
「それにしても、
範君、
かっこよかったね~。
普段、大人しい感じなのに、
ゴール決めてさ。」
素直に感動した私は、
何度も
“かっこよかった”
と繰り返した。
「ま、俺には負けるが、
俺の弟だから、当然だ。」
「なによそれ~。
本当、あんたってば、何様?」
「俺様。」
「馬鹿じゃん!」
「俺が自然に戻る姿を覗き見したやつに
馬鹿と言われるとは、
俺も落ちたもんだ。」
「自然に戻る姿?」
「・・ト・・イ・・」
レ、と言う前に、
間一髪、
あいつの口を
手でふさいだ。
直樹君の前で、なんて事を言うのよ!
あいつの口を押さえたまま、
直樹君の方を見ると、
直樹君の表情が翳ったように見えた。
もう!
あいつがおかしなこと言うから!