The Last Lie
五十嵐君の腕の中で、ずっと前から、もう答えは出てたんじゃないかと思った。
最初から私は柚杞の彼女なんかじゃなかった。
寄って来る女の子の中でも一番扱いやすかった。詮索も束縛も強要もしない私が“代わり”にはぴったりだったんだと思った。
だって柚杞はあんなにきつく私を抱き締めたりしない、あんな風に私を呼んだりしない。
あの電話を聞いた時、まだどこかで柚杞を信じてた。
こんな胸騒ぎ気のせいだって言い聞かせてた。
親戚かもしれないとか、昔からの知り合いかもとか、
祈るような気持ちで柚杞を信じてたんだ。