The Last Lie
“高1になる春に見かけちゃったんだよね…駅で楓が男と歩いてんの”
“…それっ”
“…最初は相手の男は全然見たことなかったし、楓元気でやってんだなー、とか思っただけだった。
…学校で伊川君を見るまではね”
“ー…っ”
一瞬身体を強ばらせた私に気を遣ってか、五十嵐君は軽い口調で言葉を続けた。
“びっくりだったよー?
でも、伊川君て大人な感じで年上とも上手くやれそうだし?まぁいっかって思ってた。でも頻繁に見てた二人を見かけなくなって…”
“……”
だけどやっぱり、耳元でだんだん口調が真剣になる。
“もう忘れかけた頃、噂聞いた、彼女が出来たって。学校で二人で居るのも見かけた。”