The Last Lie
いつも通り。
ただ私の中でどんどんカウントダウンが進んでいくだけ…彼女でいられる時間がどんどん減っていくだけ。
柚杞はそんな事何にも知らない。
『今日も行く?』
放課後、私の教室に来た柚杞は私を手招きして呼ぶとそう聞いてきた。
今日は水曜、柚杞のバイトの日。大体は一緒に帰るんだけど、
『うん、今から行って来るね』
私は数冊の単行本をちらつかせて柚杞に答えた。
今は、日曜日までは、あんまり柚杞と二人でいたくない。…楓さんと柚杞の始まりも終わりも、知ってしまった今は。
『だから柚杞先に帰ってて?バイトだよね?』
見上げた柚杞はチラリと時計を見てから口を開く。
『今日返した後、また新しく借りるの決まってんの?』
いつもはあっさり帰って行くのに…。
私は驚きつつ頷いた。