The Last Lie
きっと今までの私なら、すぐ笑顔になって、柚杞の腕を引っ張って、図書室までスキップする勢いだったと思う。
柚杞もそう予想して言ったんだと思う。
だけど、
『んーん、一人で行くね』
柚杞との思い出を、図書室には作りたくはない。
作って思い出して
泣くのは私だ。
そしてその涙を拭うのは柚杞じゃない。
ただでさえ消せない柚杞との時間を、
甘い時間を、
優しさを、
これ以上増やさないで欲しい。
即答した私に、柚杞はちょっと困惑しているようだった。
慌ててフォローを入れる。
『…ほら、バイト…遅れさせちゃったら悪いもん!』