The Last Lie


『すぐ戻るから、…ね?』

そう言って柚杞を頷かせて、私は図書室に急いだ。


校舎の一階の一番端にある図書室。


電気もついてるはずなのに何故か薄暗い廊下には私の足音だけが響く。


特別教室ばかり並ぶ一階は放課後人通りはほとんどない。

私はこの瞬間に一番ほっとする。

決意したあの日からずっと無理してる私が、学校で唯一普通で居られる瞬間だから。


日曜日のことは誰にも言ってない。気付いているのかもしれないけど、これは私と柚杞の問題だから知られる必要はないと思ってる。



麗にも香汰君にも、誰にも知られてない。




そう、

"ただ一人"を除いては、



『樺乃ちゃん?』



< 128 / 357 >

この作品をシェア

pagetop