The Last Lie
『ん〜ちょっと捕まっちゃって。つか樺乃ちゃんはいつになったら名前で呼んでくれんの?俺待ってんだけど』
『周りの子が呼んでくれるでしょー?私ファンの子たちの反感買うの嫌よ?』
私の言葉に少し拗ねたみたいに、口を尖らせた彼を放置して貸出しカウンターまで足を進める。
『あれ?今日は読んで行かないの?』
カードに返却のスタンプを押す私を、隣に立った彼が覗き込んだ。
いつもは先に借りる本を探して室内をウロウロしたり、五十嵐くんとテーブルに着いておしゃべりしたりして、帰り際に返却の手続きなどをする。
不思議顔の五十嵐くんから目を反らして答える。