The Last Lie

『…そんなこと、ない』


『樺乃ちゃん、』


『全然怖くない』


『……』


『全然、へいき』


『…じゃあ、』










だけど、やっぱりどうしようもない私は




真っ直ぐ私を見る彼に、










『早く、泣き止んで?』










嘘は突き通せないんだ。




『、…っく…』









静かな図書室に、私の小さな嗚咽が響くのと




『本当に…馬鹿だよね、樺乃ちゃんは』


優しい声でそう言った五十嵐君が、その腕に私を閉じ込めたのは


ほぼ同時だった。


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