The Last Lie

とりあえずホッとした私は足早に玄関に向かう。

玄関で私の下駄箱の棚の前で、壁に寄りかかってる柚杞の姿が目に入る。

名前を呼んで駆け寄った私に向けられた目が、少し安心してるように見えた。

…心配、してくれてた?

とにかく電話を謝りたくて口を開いて、


『樺乃…』


名前を呼ばれてまた閉じた。姿勢を正した柚杞が私を見下ろす。


『なに?遅くなってごめんね、電話も出れなくて』

『…気にしなくていい、』

私から目を反らしてそう言った柚杞は私の手を取って、学校を出た。繋いだ手はいつもより強い。


ふと、思い出す。

柚杞と初めて手を繋いだ時のこと。


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