The Last Lie

あれは柚杞と付き合い出して間もない頃。

学校からの帰り道。

付き合ってるのに、実感が全然なくて自信もなくて、私が悩んでるのを見抜いた柚杞はそんな私を見て笑った。

なんで笑われたのかもわからず涙目になって不貞腐れた私に気付くと、柚杞は何の前触れもなく私を引き寄せ…ー


“不安解消…”


そう囁いてすぐ唇を塞いだ。

柚杞との初めてのキスに驚く私に構うことなく、後頭部を押さえ、指を絡め、思うがままにキスをされた。

思惑通り、頭の中を柚杞一色にさせられた。


ゆっくり唇を離したあと、微笑んだ柚杞が何か呟いてたけど、私には聞こえなくて指を絡めたまま家まで送ってもらった。


あの日から、外を二人で歩くとき柚杞は必ず手を繋いでくれる。

繋ぐというより指を引っ掛けてると言う方が正しいかもしれない繋ぎ方。

今繋がれてる柚杞の手は、繋ぐというより、掴むと言うほうが正しい気がする。


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