The Last Lie
だから香汰くん、違うんだよ…
柚杞はどうしようもなくなんかない。
どうしようもないのは、私なの。
こうやってすべき事が分かってても、心地良い柚杞の手に掴まれたままでいる。
ずっとこのままでいいって思ってる…私が…。
オレンジ色の夕陽が辺りを染める。
黒く伸びた二人の影は一つにはならなくて、ただ繋がれたこの手が、細い一本の線になって私と柚杞を結びつけていた。
いまにも、途切れそうな程に…儚く見える。
冬の風が柚杞の黒髪をさらう…揺れる髪の先がオレンジ色に染まって透けてた。
夕陽を見る柚杞の横顔。
…あぁ、こうゆう事なんだ。