The Last Lie
二度と見つけられないほど奥に、
心の中の、ずっと奥に
甘い記憶を閉じ込める。
決意して視線を上げた先に柚杞の少し硬い表情。そこにちょっと混ざる困惑。
『…なにー?』
泣き出しそうな気持ちとは反対に笑って返事をしたのは、この期に及んでまだ期待が頭をかすめたから。
その少しの困惑の表情に嬉しさを覚えたから。
笑った私を見ても柚杞は表情を崩さない。
『柚杞?』
『…意味わかんねぇ』
『へ?聞こえない、』
『…それ、本気?』
少し俯き加減で長い前髪の隙間から見える柚杞の目は強くて真っ直ぐだった。
この前、女の子からの告白を断った時みたいなちょっと怖い目だった。