The Last Lie
“それ、本気?”
去年の12月。
私に似たような質問をしたのを、柚杞は覚えてるかな…。
放課後の学校、麗と2人きりの教室で柚杞を好きだって話したところを、柚杞本人に聞かれて。
パニックになって逃げようとした私を捕まえた柚杞は言ったんだ。
“なぁ…いまの本気?”
この関係は始まりも終わりも私が基準で、考えれば柚杞の“本気”は結局何にも見えないまま、私だけが本気だった。
でも、柚杞の本音を聞きたいと思いながら、本音から逃げていたのは私だったかもしれない。
“柚杞を解ってやってね”
あれは、柚杞の気持ちの方向に感付きながら、でも推測のままに留めて結果を出した私に向けられたものでもあったのかもしれない。