The Last Lie
『あー…もう、』
ため息をつきながら廊下を歩く。騒がしい昼休み。
腕時計に目をやると、あと5分しかない。
次の授業なんだっけ…
ぼんやり歩いていると前から麗が駆けよってきた。
『樺乃!次移動だよ』
『そーだっけ…ごめん麗、先に行ってて』
『そーゆうと思って』
渡される教科書と筆箱。
そしてにんまりと嫌ーな笑いを浮かべた麗は案の定の言葉を投げ掛けてくる。
『でー?今日はいかがでしたー?』
『…べつに変わらず』
『あらら、河上君結構かっこいいのに勿体ない!話してみたかったのになぁ』
『麗…楽しんでる?』
『えへっ』
『…人の気も知らないで』
私は睨むように麗を見てまたひとつため息をついた。