The Last Lie

ゆっくり五十嵐くんが立ち上がる。立ち上がって一歩私に近づく。

…足が動かない。

なんで私なんにも言わないの?どうして、泣きそうになるの?


『興味が好きに変わったのは初めて話した時かな』

『……』

『自覚したのはもっと最近』

『……』

『樺乃ちゃん、』


どんどん俯いてく私ね頬に遠慮がちに彼は触れる。
ゆっくり上を向かされて、優しい顔の五十嵐くんと目が合う。

やっぱり、変だよ。

いつもみたいにふざけててよ、五十嵐くん。


『…見返りなんていーから』

『……』

『俺が、ほっとけないだけだから』

『…五十嵐くん』

『俺を好きになれなんて言わない』

『…そんな、五十嵐くんを利用するみたいなのは出来ないよ…』



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