The Last Lie

それに慣れてるのかなんなのか、五十嵐くんは全く気にしてなんかなくて図書室で過ごすみたいに普通だった。


“寄りかかるなら俺にして”


そんな事言った五十嵐くんに特に目立った変わりは無かったけど、それでもたまに見せる視線や言葉の端々が優しくなった。

私が気付くようになっただけなのかもしれないけど。


『そろそろ帰ろっか』って五十嵐くんが言ったのはまだまだ明るい夕方でも無い時間だった。

一瞬不思議に思ったけど、なんとなく意味がわかった私は素直に頷いた。

たぶん五十嵐くんは私に気を遣ったんだと思う。

別にすごい純粋で免疫がない女の子って訳じゃないけど、自分を好きだという男の子と過ごすのは手放しで楽しめるもんじゃない。

自分がその気持ちに応えられないなら尚更。


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