The Last Lie
五十嵐くんが渡してくれたのは可愛らしい絵本。
『…可愛い、ありがとう』
『読めそう?』
『…無理そう』
『じゃあ特別授業してあげよう、これはー…』
柔らかい笑みで、幸せそうに私を見る。
だから。
もっともっと、
この優しさが届けばいい。
ゆっくりでいいから。
もっとこの時間が続けばいい。
なんの障害もなく、穏やかに過ごしていけたらいい。
その柔らかい優しさで、ゆっくり私を包んで。
そしてその優しさを彼に返していけたらいい。