The Last Lie

ホームルームが終わり教室内がざわつき出す。
バイバイ、と声をかけてくれるクラスメイトに手を振り返し、そのままドアまで視線を流すと、

『帰れる?』

目が合った柚杞が私に声をかけた。
本当に早い。いつもはちょっと待たされるのに。
ドアにもたれかかる柚杞に軽く微笑んでから、鞄を持ってドアに向かう。

教室を出る前に麗に目をやると、やっぱり何か言いたそうに私を見ていた。
少し困ったように笑って手を振ったら『明日ね!』って不満げに片手を振ってきた。明日って言うのはまた明日詳しく聞くからねっていう宣言だと思う。

玄関で靴を履き替えて、入り口を見ると柚杞の姿がなかった。私の下駄箱は右寄りにある入り口から一番遠い左端。反対に柚杞は丁度入り口の正面にある右から二番目の下駄箱だった。


だから大抵私が待たせる形になるんだけど。もう外でちゃったかな?


外に目を向けても柚杞らしき姿はない。まだ履き替えてるかもしれないと、右から二番目の下駄箱を覗きこもうとしたとき、


『ほんと面白いな、柚杞』

癒し系な声がした。


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