The Last Lie

『樺乃ちゃんなんかあった?』

買ってきた紙パックのジュースにストローを刺して飲もうとした時。

五十嵐くんが唐突に言った。

五十嵐くんは私の目の前の一人掛けソファーに座っていて、私はその正面で横向きに足を伸ばして二人掛けソファーに座ってた。


『なんか?』

『俺に言ってないことない?』

『…無い』

『何かあった?』

『…何も無い、よ?』

『……』

『……』

『樺乃ちゃん、』

『だから…な、無いってば!!』

『……ふーん、』


思わず怒鳴った私に五十嵐くんは、


『なーんにも無いんだ…良かったね』


例のごとくニッコリ笑った。



わぁ…怒ってる!!!

そう思った時にはもう遅くご立腹の五十嵐くんに、再開した勉強会をいきなり応用編から進めるという最悪な嫌がらせをされている。


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