The Last Lie

そんな怒んなくてもいーじゃん、と思うんだけど、なんとなく私が五十嵐くんの立場でも同じように拗ねる気がして怒れなかったりする。

五十嵐くんに探りを入れられるのは実は今日が初めてじゃない。

柚杞と別れた後、私は柚杞を避けたりはしなかった。話しかけたり喋ったりはしなくても、絶対に会わないように過ごしたりはしなかった。

だから、新学期が始まってからの私の様子を見た五十嵐くんはすぐに聞いてきた。


“どーしたの?”


柚杞と何かあったと思ってるんだろうけど、柚杞と何かあった訳じゃない。

勝手に“柚杞に対しての私”が、変わっただけ。


絋未さんの話を聞いてから妙に柚杞を意識してしまうようになった。


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