The Last Lie
いきなり応用編になった問題に太刀打ち出来るはずもなく、私は目の前の人を伺う。
勉強してる姿を見るのは初めてだけど、五十嵐くんじゃないみたいだ。
伏し目がちにしているため睫毛が目元に薄く影をつけてる、やっぱり顔は綺麗だな、なんて思う。
『五十嵐くん』
『…んー』
まだ機嫌が悪いのは続行中らしく、気のない返事が届く。
『五十嵐くん』
『なにー』
『言いたくても五十嵐くんには言うべきじゃない事があるって私は思ってる』
私の言葉に英文を書いてた五十嵐くんの手が止まる。でも、視線は問題集に落とされたままだ。