The Last Lie
『言いたくないから言わないって訳じゃない』
『……』
『言っちゃいけないって思ってるから言わない』
いくらなんでも、五十嵐くんに柚杞の事は話せない。
もしかしたら別れる必要は無かったのかもなんて、
…そんな期待を抱いた事、
言える訳が無い。
五十嵐くんに散々支えてもらってて、やって良い事と悪い事がある。
『例えば?』
勉強をやめた五十嵐くんは問題集をパタリと閉じて聞いてくる。
『例えばどんな事は言っちゃいけないの?』
『…そんなの、言っちゃってるのと一緒じゃない』
『…賢くなっちゃったね、…でも。俺に言えない話ってどんなのしかないかって樺乃ちゃんわかってる?』