The Last Lie

私が座って一拍後、五十嵐くんは口を開く。

それは優しい声だった。


『俺ね?前も言ったと思うけど見返りなんていらないんだ。

樺乃ちゃんが泣きそうになった時、苦しくていられない時、誰かに側にいて欲しい時に、一人でいて欲しくないだけなの』


わかる?、ってその温かい手で頬を撫でられて、涙を流してることにやっと気付いた。

そんな風に思ってくれる人世界中探しても五十嵐くんしかいないんじゃないかなって思う。


『な、にか得できるの?』


五十嵐はー…そう聞く私に、


『こーゆーの…隣いて、涙拭いてあげたり、辛い時に側にいられること。

充分メリットあるじゃん』


そんな笑顔向けないで。



< 254 / 357 >

この作品をシェア

pagetop