The Last Lie

私の涙が止まったのを確認すると五十嵐くんはソファーから立って、いつもの場所まで歩いて、


『でも…やっぱそっか、』

って呟く。

五十嵐くんを目で追いながら、何が?って聞き返す私に振り向かず


『…んーん、何でもない』

それは穏やかで自然で、だから言い直す程大したことでもないんだと思ってた。

だから、


『…あ、来週のテストの最後の日、終わったらここ来てね?』


その改まった約束に、何も感じなかった。













人を好きになったらその人が欲しくなるのは当然だと思ってる。


だけど私の場合には、その気持ちを持つことは許されないとも思ってる。


この日弱さを吐き出したことで、五十嵐くんを傷つけた私は尚更そう思ってた。


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