The Last Lie

『…い、おい樺乃?』

柚杞の声に顔をあげたら、私の目の前には柚杞の家。柚杞に玄関に入るように促されてるのに、下を向いたままだった。

やば、ぼーっとしてた…

慌てて駆け寄ったら、ドアを開けたまま柚杞は不思議そうに私を覗き込んで

『…とりあえず、部屋行ってろ』

そう言うとキッチンに消えていった。


柚杞の家はお父さんが単身赴任されててお母さんもそれに付いて海外に行っている。
この家に住んでいるのは柚杞と柚杞のお兄さん。妹さんもいるけど、全寮制の高校に通っているから滅多に帰ってこない。

柚杞の部屋は二階の一番奥にある。すっかり見慣れたその部屋はシンプルでモノトーンで揃えられた空間は柚杞らしさが滲み出てる。

ベットを背もたれにするように座った時、柚杞が階段を上がってくる音がした。


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