The Last Lie

素っ気ない相槌をしてから美人さんは履いてた革靴をまた上履きに替え、こっちに向かってくる。

私の前で止まった美人さんはやっぱりなんとも言えない冷たいオーラを出していたけど、


『引き留めて悪い。行ってやって』


そう言った声はちょっとだけ優しかった気がした。




軽く会釈をした私は彼に背を向けて図書室に向かう。

よく分かんなかったけど、多分彼は知ってるんだと思った。

五十嵐くんが約束を取り付けた意味も、その内容も。

嫌な予感がするのは、五十嵐くんとのことじゃない。

なんかもっと私に関することで。


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