The Last Lie
どーしたの、って
『なにが?』
聞きたいのは私なんだけどな…。カップをテーブルに置いて柚杞を見やる。
柚杞はネクタイを外しながら、それでもその目で私を捕らえてた。あの切れ長の眼で。
『言いたくないならいいけど、』
『なにが、何の話?』
『昼、なんであんな顔してた?』
『………』
『樺乃?』
『………』
『お前は何かなきゃなかないだろ?』
理由ならある。沢山ある。あの涙に理由が必要ならいくらでも出せる。
でもいま私の中で問題なのはそんな事じゃない。
いままで気にならなかった陰口を気にしちゃう程、あんな涙がでる程、もう私は限界なのに、
柚杞の口からはっきり、迷惑がる言葉を聞いたのに、
問題なのは、柚杞に心配されるのを嬉しく思ってしまうこと。
“嘘”だとしても、
やっぱりどうしようもなく嬉しくなるんだ。