The Last Lie
自分の心に掛かった靄を取り除く方法を、考えることを放棄して、逃げてばっかり。
…私って、こんな弱かったっけ?
こんなに自己中だったっけ?
こんな…ー、
廊下から足音が聞こえる。
静かに近付いてくる。
会った時、なんて言ったらいいんだろう。
いつも通りにしてていいのかな。
むしろ、そうしてもらえたら嬉しいんだけど。
出窓の五十嵐くんの場所に後ろ手をついて、ドアを見つめる。
止まる足音。
ドアの小窓に映る影。
開く直前、私は最後にひとつ溜め息をついた。