The Last Lie

柚杞は一歩中に入り、ドアに手をかけた。

視線を閉まっていくドアに向けながら『ー…昨日、』と話しだす。


『五十嵐が教室に来た』


予想通りの言葉にやっぱり、と心の中で頷いて


『図書室で話があるって言われたの?』


五十嵐くんが言ったであろう台詞を出してみる。

だけど柚杞は予想外な返しをして来た。


『いや…図書室、って言われて鍵渡してきた』

『…鍵?』

『明日の放課後行ったら、お前に会えるって』

『……』


『ー…樺乃、』


呼んで、放り投げられる何か。慌ててキャッチしたそれを見ると銀色の鍵。

続いて、鍵が閉まる音が耳に響く。


『俺と話したくないなら今すぐ出てって。

…で、鍵と一緒に五十嵐に伝えて“俺でもない”って』



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