The Last Lie
『もう終わったことでしょ?いいじゃん、今更蒸し返さなくても、ね?』
笑顔で押し切って鞄を手に取る。
もう少しだけ、堪えればいい。そのあと思いっきり泣けばいい。
黙ったままソファーの横に立ち柚杞に視線を向ける。
柚杞は私を見てなかった。私の座ってた出窓を捕えたままだった。
視線を合わせて笑いたかったけど、さすがに無理。
『もういいよね?帰るね、…鍵は、渡しとくから』
『……』
あとちょっと、もうちょっとだけ。
ドアに手をやり開く瞬間、唇を一度噛んで、震えをごまかして、告げる。
“ばいばい”
はずだったのに。