The Last Lie

『…なんも言わねぇってことはそうなんだ?』

『……っ、違、』

『じゃあなんだよ』


バレた時の事なんて、考えたことない。
嘘を吐ければそれで終わると思ってたし、柚杞とそのあとも関わりを持つ気はなかったから。


『本当のこと言え』

『……』


だからこうして問い詰められても、バレてしまってもどうしたらいいのか全く分からない。

こんな風に話す事になるなんて…。

そこまで考えて、ふと思う。

こんな状況を作った五十嵐くんの気持ちはどんなだったんだろうって。

私を好きだと言う彼が、どんな気持ちでこの約束を取り付けたか。
どうしてこんな状況を作ったのか。

…私が彼の立場だったら、同じように相手の背中を押せただろうかって。


< 298 / 357 >

この作品をシェア

pagetop