The Last Lie

触れる事無く離れていった手の温もりを思い出してなんだか寂しくなる。


『違うよ…』


私の小さな声に柚杞は何も言わなかった。その目を少し細めただけで、話を元に戻した。



『ー…で、俺が毎回文句言ってたら二人で話すようになって…付き合ったけど、高校入った位でダメんなった』


『あの、雨の日…?』



そう聞いた私に、柚杞は少し目を開いて『やっぱ聞いてたんだ』って呆れたように小さく笑う。

柚杞に見つかった時、聞いてないって嘘ついた手前言い出しにくかったけど柚杞は怒りもせず『そう、あん時』と言った。



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