The Last Lie
『なに?』
『本当にお前飽きない』
『へ?待って待って、今の会話のどこが変?』
ベットに身を乗り出して聞き返しても、柚杞は意地悪い笑顔を浮かべたまま、何も言わずに雑誌に視線を移した。
なに?なに言ったの、私。いたって普通の事しか言ってないのに。
香汰くんもだけど、柚杞の笑いのツボも結構謎だ。
答えてくれない柚杞にため息を落として背を向ける。ああいう笑いをされた場合大抵理由は教えてもらえない。
過ごした時間は同じなのに柚杞の表情から色々読み取れる自分と、私の笑顔の違いもわからない柚杞。改めて気持ちの大きさの違いを実感する。
“あの人”も、柚杞に対してこんな不安を持ったりしたんだろうか。
“あの人”も、ここでこうして紅茶を飲んだりしてたんだろうか。