The Last Lie
謝って俯いた私に身体ごと向けた柚杞は
『俺が悪い、お前は何も悪くない』
そう言って頭を撫でる。
今こうして柚杞の気持ちを知らされて触れられると、どれだけ私を大切に思ってくれているのか分かる。
それはきっと私が柚杞に向き合い出したから、やっと私が柚杞を“解りだした”から。
こんなに優しく触れる手をどうしてあんなに疑えたのか…振り払えたのか。
そう思う程に柚杞の気持ちが伝わるのは、上げた視線の先、私を見る柚杞の目が驚く程に優しいから。
錯覚でなければ、楓さんを見てたあの目よりも、ずっと。
『樺乃、』
そしてこの呼ぶ声も。
ずっと、優しい。