The Last Lie

『そんな力いらないでしょ、これ開けんのに』

『あ、』


声に驚いて振り返ってる隙に、伸びてきた手が扉をスライドさせた。


『どーぞ?』

『…どーも』


右手の平で促され小さくお礼を言って先に中に入る。

久しぶりに入った部屋の中は何ひとつ変わりなく、キョロキョロ見回しながら私は2人掛けソファーに座った。


『何も変わってないよ?たったの1ヶ月だもん』

『だね…なんか久しぶりだったから見回しちゃった』


私の正面のソファーに向かいながら話仕掛けてくる彼に笑顔を向ける。

彼が座って顔をあげたところで目と目が合った。


< 342 / 357 >

この作品をシェア

pagetop