The Last Lie


『でも、久しぶりじゃんね?こうやって話すの』


『うん…久しぶり』


図書室も五十嵐くんも変わってない。

でもただ…私を見て笑う顔が、何か少し遠い。
距離とかじゃなくて、もっと違うなにか。

それはきっと、彼なりのボーダーライン。


『樺乃ちゃん、変わったね』

『へ?』

『変わったってより、戻った』


五十嵐くんはソファーのひじ掛けに肘を突いて、私を見る…眺める。
手の平で支えた顔が少し緩む。


『戻れたんでしょ?伊川君と』


穏やかな表情から飛び出した言葉は私の心臓を一突きして、一気に鼓動を早くさせる。


< 343 / 357 >

この作品をシェア

pagetop