The Last Lie
『でも、久しぶりじゃんね?こうやって話すの』
『うん…久しぶり』
図書室も五十嵐くんも変わってない。
でもただ…私を見て笑う顔が、何か少し遠い。
距離とかじゃなくて、もっと違うなにか。
それはきっと、彼なりのボーダーライン。
『樺乃ちゃん、変わったね』
『へ?』
『変わったってより、戻った』
五十嵐くんはソファーのひじ掛けに肘を突いて、私を見る…眺める。
手の平で支えた顔が少し緩む。
『戻れたんでしょ?伊川君と』
穏やかな表情から飛び出した言葉は私の心臓を一突きして、一気に鼓動を早くさせる。