The Last Lie
『じゃあ俺の彼女になる?まだ受け付けますけど』
『それは、だめ』
『いいの?本当に、伊川君で』
ちょっと唇をあげて、意地悪な声で聞いてくる。
私がなんて言うか分かってるうえで。
『…うん、柚杞がいい』
少し微笑んで答えれば、彼は目を伏せて笑った。
『やっぱ嫌いだな、伊川柚杞』
五十嵐くんの見せるあの優しい目に表情に声に、全力で応える女の子が早く見つかるといいなって思う。
勝手な考えだけど、きっと五十嵐くんはその子には私に向けてた何百倍も優しくすると思うの。
『じゃあ、私行くね』
『もう?』
『うん、なんか私今が一番勢いある!』
素早く荷物を持って、ドアに向かう。