The Last Lie

『こっち、ってー?』

すっかりキスにやられてしまった私は視線も上げずに小さく返事だけする。

なんで柚杞は余裕なの…

ベッドに頬を付けて呼吸を整える私の髪を柚杞の長い指が掬う。

『樺乃、』

私のセミロングの茶色の髪を撫でながら、柚杞は私の名前を呼ぶ。こっち向けよと言わんばかりに。

『…ベッドに座ればいいんでしょ?』

顔を上げ、力の入らない足に喝をいれて立ち上がる。自然と髪を通った柚杞の手がベットに向き合う形で立った私の左手を掴んで…

『いい加減キス慣れろ』

そう呟かれたと思ったら強い力で引っ張られて、視界が180度回転した。

背中が柔らかいベッドの上で弾み、目の前には私を見下ろす柚杞の顔、その後ろには白い天井。
びっくりして瞬きを数回繰り返す間に、柚杞が首筋に唇を寄せてくるから、

『ちょっ、待って!』

慌てて柚杞の肩を押し返した。


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