The Last Lie




――――――――others.
―――






またね!と図書室を後にする彼女を、引き止めたかったのは俺だけの秘密。


呼ばれた名前に、


高鳴った心音
にやけそうになった頬
熱くなった身体



きっと彼女には知られないままでいいんだろう。

本当は見返りが欲しくて仕方ない事も。

諦める気なんてない事も。


最初から白旗あげてた勝負だった事も。






『大っ嫌いだよ、レンアイなんて』



とりあえず、今は


待ってみようか、いつもの席で。


久しぶりに窓を開けて。


“何でもない景色”のただの“一部”と、



あの声を。



だから、まだしばらくは


かっこつけて嘘ついたのは、秘密のままで。



***



< 352 / 357 >

この作品をシェア

pagetop