The Last Lie
あの日はまだ入学したて、高校一年の春。
午後から急に崩れた青空は厚い雲の所為で薄暗い空に変わった。
『最悪』
そう思いながら自転車置場に急いだ。
雨の日の放課後。
校舎の裏側にある自転車置場に人の姿は全然ない。
綺麗にならんだ自転車の列から見て、みんな置いて帰ってるみたいだけど私は自転車で帰りたかった。
傘が無いのは歩きでも自転車でも変わんないし、どうせだったら早く着いた方が良かった。
自分の自転車を見つけて、鍵に手をかけた時、
『もう、無理だろ』
低い声がした。