The Last Lie
そのうえ倒れた愛車に躓(つまず)いて『うわっ!!』と大きい叫び声をあげた私は人生で一番間抜けだったと思う。
確実にバレた、絶対バレた!!どうしよう、どうしたらいいの?誰か助け…
『なにやってんの?』
…てくれる訳もなく、上から降ってくる冷静な口調に大袈裟に肩をびくつかせ振り向いた。
私の目の前で両手をポケットに突っ込んで見下ろす整った顔。私は慌てて柚杞に謝った。
『ごめ、ごめんなさい!』
だけど、必死に謝る私の言葉も気にせずに、
『でも私本当になんも聞…』
『アンタ馬鹿?』
『…へ?』
『汚れる』
意味分かんないけど、馬鹿呼ばわりした柚杞はそう言って一歩私に近づくと、出した右手で腕を掴んで私を立たせた。
『あ、あり…がとう』
“失礼だけどいい奴”
第二印象はそんな感じだった。