The Last Lie

目が覚めると、まだ窓の向こうは薄暗かった。
枕元の時計を手に取ると短針が5を回ったところ。

なかなか起動しない重い頭に手をやると、こめかみに鈍い痛みが走る。

低血圧の私は起動するまで偏頭痛に悩まされる。

反射的にこめかみに指を当てると掌にひやりと冷たい感触がした。

またか、と思う。

ため息をひとつ溢してテーブルに手を伸ばす。
ティッシュを2、3枚引っ張りだして頬を拭いた。


夢を見て無意識に泣いてることに気付いたのは1ヶ月くらい前のこと。

その日もこんな風に偏頭痛に眉をしかめてたっけ。


涙の原因が何なのかなんて、わかりたくない。

夢の中ですら感情を押さえ込む必要なんてない。

現実ではこれでもかって位に色んなもの押さえ込んでるから。

また寝るのには時間が足りないし、かといって起きるにはまだ早い。


厄介な時間に起きた自分を呪いつつ、読みかけの小説にを手に取った。



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