The Last Lie
受け取った紅茶から身体にひんやりとした冷たさが伝わる。
いつもは美味しい柚杞の淹れてくれた紅茶も今はお湯を飲んでるみたい。
ありがとう、と言いながら斜め上からの視線に笑顔と言い訳をならべた。
『柚杞、携帯端っこに置きすぎー雑誌読んでてビックリした』
嘘は言ってない。
私を探る視線が床へ移って安堵した。
『鳴ってた?』
『うん、落ちたら切れちゃったみたい』
これは嘘だけど。
今まだ繋がってるのかも、もう切れてるのかもわからない。
だけど。携帯を広いあげる柚杞に言葉を続ける。
何も知らないフリをして。
『なんか急用だった?大丈夫?』
大して興味も無くなってしまった雑誌に視線を落として。