The Last Lie
それが柚杞の“唯一”でないのなら、
楓さんに、
かなうはずないんだ。
『柚…っん、』
甘い感覚に酔いながら
全部忘れなくちゃ駄目なんだと思った。
全部手放さなきゃ、
私を抱くこの腕とか、私を見る熱っぽい目とか、
『…樺乃、我慢すんな』
私を咎(とが)める激しいキスも
『…我、慢してな…んんッ』
私を火照らせる大きな手も
『樺乃』
この低い声も、
『声、聞きたいから』
くれる言葉も、
彼の甘い熱も…
もう、全部。