The Last Lie

柚杞の腕の中が苦しかったのは初めてだった。







柚杞のことをたくさん知りたかった。


柚杞にもっと近づきたかった。


でも行動に移さなかったのは、どこかで予感してたからなのかもしれない。


柚杞に近づくこと、

それが合図になってしまうかもしれないって。






『ずるい女でごめんね？』

ベッドの横にしゃがみこみ穏やかな顔で眠る柚杞を見つめた。

受け入れる勇気がなくて一人になるのも怖くて見てみぬフリする私はずるい。

規則正しい寝息をたてる柚杞の頬に触れるか触れないかのキスをした。

…好きな気持ちをこめたキスを。