The Last Lie

『柚杞には内緒、ね?』

そう言ったけど私は思わず笑い飛ばしてた、

『柚杞は怒らないよ』

自嘲的に。




柚杞と日曜の約束をしたあの日から2日目、昨日の夜遅く私は彼にメールした。

柚杞と付き合い始めた時に“なんかあった時のため”なんて言いながら、社交辞令のように交換したデータを電話帳から使ったのは初めてだった。


『樺乃ちゃんからメール来るからビックリしたよ…まぁ、もう来ないって思うと寂しいけどね』


『へ?』と間抜けな声をあげた私に言葉通り寂しそうに笑った香汰くんはそれでも口調は穏やかなままだった。



< 70 / 357 >

この作品をシェア

pagetop